PROJECT
2026. 04. 30

首都圏外郭放水路は、洪水被害の軽減を目的として建設された世界最大級の地下放水路です。本施設は、埼玉県東部地域において中小河川の氾濫を防ぐため、地下深部に巨大なトンネルおよび調圧水槽を整備し、増水した河川水を安全に江戸川へ排水する役割を担っています。
本工事は1993年に着工し、2006年に完成しました。総延長約6.3kmの地下トンネルは、地表から約50mの深さに構築され、内径約10mの大断面シールドトンネルとして施工されました。また、各河川から水を取り込むための立坑(第1~第5立坑)は、直径約30m・深さ約70mに達する大規模構造物であり、地盤条件や周辺環境に配慮しながら慎重に施工が行われました。
施工には、主にシールド工法が採用され、掘削と同時にセグメントと呼ばれるコンクリート部材を組み立てることでトンネルを構築しました。この工法により、地上への影響を最小限に抑えつつ、安全かつ効率的な施工が可能となりました。他にも、地下水対策や地盤沈下の防止、施工時の安全管理など、高度な土木技術が求められました。
さらに、本施設の中核をなす調圧水槽は、長さ約177m、幅約78m、高さ約18mの巨大空間であり、洪水時には一時的に水を貯留し、排水量を調整する機能を有しています。その内部には多数の柱が並び立ち、その景観から「地下神殿」とも称されていいます。
白岩工業は、1997年6月から2003年9月にかけて、首都圏外郭放水路の外郭シールド工事第3工区および第4工区を担当しました。施工は第3立坑から第4立坑、さらに終点に至る区間において実施され、長距離にわたるシールドトンネルの構築を担いました。
本工事においては、坑内でのセグメント搬送にタイヤ式自動搬送車が採用されました。従来、セグメントの搬送には坑内に枕木およびレールを敷設し、その上を台車で走行させる軌条方式が一般的であったが、大型セグメントでは、1回の搬送で運搬可能な数量は3~5ピース程度に限られていたことが課題となっていました。
これに対し、本工事で導入されたタイヤ式自動搬送車は、3基の荷台を備え、1リング分に相当する計9ピースのセグメントを一括して積載・搬送することが可能となり、搬送効率が大幅に向上しました。
一方で、施工初期にはセグメント搬送機械の自動センサーが正常に作動しない場合もあり、不具合の状況を確認しながら微調整を行うなど、現場での対応が求められました。また、本搬送車は無人運転に対応していたものの、安全確保の観点から監視員が同乗し、非常時には手動操作による運転も兼務していました。
さらに、タイヤ式搬送方式の採用により、従来必要であった軌条設備の敷設・撤去といった坑内作業が不要となり、施工の効率化に加え、坑内における騒音や振動の低減にも寄与し、作業環境の改善にも大きな効果を発揮しました。
なお、本搬送車の主要諸元は、車体幅2.6m、全長14.4m、最大積載重量69tであり、30kWの電動機2台によって駆動される。車体側面のガイド板による誘導区間では、最高時速5.1kmでの走行が可能となりました。
外郭放水路は現在、治水施設としての機能に加え、防災教育や観光資源としても活用されており、見学施設として一般公開も行われています。首都圏外郭放水路は、都市部における水害対策の先進的な事例として高く評価されています。

(構図提供:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所)

(構図提供:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所)

第4工区トンネル(写真提供:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所)
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