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施工管理で働く人が増えているのはなぜ?データで読み解く建設業界の「いま」

施工管理で働く人が増えているのはなぜ?データで読み解く建設業界の「いま」

「建設業界は人手不足」。ニュースなどで、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
実際に、建設業で働く人の数はピーク時から約3割も減っています。ところが、データを細かく見ていくと意外な事実が見えてきます。
現場で働く人全体が減り続ける一方で、施工管理をはじめとする「技術職」の数は、2013年を底に増え続けているのです。2025年には、過去20年で最多の水準に達しました。
減少しているのは主に現場で作業を担う技能者(職人さん)で、施工管理のような技術者はむしろ増えている、というのが実態です。

人が減っている業界で、なぜ施工管理で働く人は増えているのでしょうか。

今回は、公的な統計データをもとに建設業界の「いま」を整理し、施工管理で働く人が増えている理由を詳しく解説します。
施工管理の仕事に興味がある人や、就職・転職先として建設業界を検討している人は参考にしてみてください。

施工管理とは


施工管理とは、工事現場で品質・原価・工程・安全・環境を管理し、工事を計画通りに完成へと導く仕事です。「現場監督」と呼ばれることもあります。

自ら重機を動かしたり、鉄筋を組んだりするのは職人さんの仕事。施工管理は、その職人さんたちが安全に、計画通りに作業を進められるよう、現場全体を計画し、段取りし、管理する役割を担っています。
施工管理の具体的な仕事内容や1日の流れ、必要な資格については、こちらの記事で詳しく解説しています。

施工管理とは?

また、施工管理が担う5つの管理項目は、品質(Quality)・原価(Cost)・工程(Delivery)・安全(Safety)・環境(Environment)の頭文字をとって「QCDSE」と呼ばれています。それぞれの優先順位や考え方は、こちらも合わせてご覧ください。

QCDSEについて知ろう!

データで見る建設業界の「いま」

まずは、建設業界がどのような状況にあるのかを数字で見ていきましょう。

就業者全体はピーク時から約3割減

建設業で働く人の数は、1997年の685万人をピークに減少が続き、2025年には478万人となりました。ピーク時と比べると約7割の水準です。
なかでも大きく減っているのが、実際に現場で作業を行う技能者(職人さん)です。1997年に464万人いた技能者は、2025年には296万人と、300万人を下回りました。

そして、この減少は今後も続く見込みです。
建設経済研究所が国勢調査をもとに行った将来推計では、2020年に約245万人だった技能者は、2030年には約188万〜211万人、2035年には約166万〜193万人と、2020年に比べて2〜3割減るとされています。

職種別に見ると、状況はさらに深刻です。住宅づくりを担う大工は、2020年の約30万人から2035年には約13.5万〜15.4万人と、ほぼ半減すると推計されています。
左官も2035年には2020年の半分から4割程度まで減る見込みで、技能者の不足は今後ますます大きな課題になっていきます。

※日建連の数値(総務省「労働力調査」ベース)と建設経済研究所の推計(総務省「国勢調査」ベース)は、集計方法が異なるため人数に差があります。

高齢化と若手不足

年齢構成にも大きな偏りがあります。2025年時点で、建設業就業者のうち55歳以上が約37%を占める一方、29歳以下は約12%にとどまっています。
全産業と比べても、高齢化が著しく進んでいる状況です。

さらに、現場の中核を担う30〜49歳の層も、約238万人から約174万人へと大きく減っています。
ベテランが引退していく中で、技術をどう次の世代へつないでいくか。これが建設業界の大きな課題となっています。

ただし、明るい兆しもあります。29歳以下の若年層は、2013年の約51万人を底に下げ止まり、近年は50万人台後半で推移しています。

技術職は年々増加

そして注目したいのが、施工管理をはじめとする技術職の動きです。
建設業の技術職は長く減少傾向にありましたが、2013年を底に増加に転じ、2025年には41万人と過去20年で最多となりました。技能者が減り続けているのとは、まったく逆の動きです。

ここで誤解のないようにお伝えしておきたいのは、「建設業界の人手不足」の中心にあるのは、主に現場で作業を担う技能者の減少だということです。
施工管理のような技術者は、減っているどころか、むしろ増え続けています。

この傾向は、将来推計でも同じです。建設経済研究所の推計では、建設業で働く建設技術者は2020年の約24万人から、2035年には約25万〜32万人へと増える見込みです。
女性の建設技術者も、2035年には2020年の約1.7〜2.1倍に増えると推計されています。

業界全体の人の流れも変わってきています。2000年代前半までは、建設業を離れる人が入る人を大きく上回っていました。
しかし近年は入職者が離職者を上回る年が多く、2024年には入職者数が離職者数を大きく上回っています。

また、建設業で働く女性の割合は2025年に18.4%と過去最高を更新し、女性の技術職も約5万人と、2002年以降で最も多くなりました。

建設関連の仕事は増え続けている


働く人の数とは対照的に、工事の量は増えています。
国内の建設投資額は、2010年度の約42兆円を底に増加に転じ、2025年度には約75.6兆円となる見通しです。15年でおよそ1.8倍に拡大した計算です。

インフラの老朽化と都市の再開発

背景の一つが、インフラの老朽化です。高度経済成長期に一斉に整備された道路や橋、トンネル、上下水道などの多くが建設から50年以上を経て、更新や修繕が全国的な課題になっています。
都市部の再開発も、便利な街をつくるだけでなく、老朽化した構造物を安全につくり変えるという意味を持っています。

たとえば白岩工業が携わる渋谷駅周辺の再開発は、「100年に一度」と言われる大規模なプロジェクトです。白岩工業はこの再開発に10年以上、約20の現場で関わってきました。

ほかにも、国道1号線の直下に約5.4kmの高速道路トンネルをつくる横浜湘南道路トンネル工事など、首都圏では大型のインフラ工事が続いています。

工事実績:JR渋谷駅改良工事(北工区)
工事実績:横浜湘南道路トンネル工事

激甚化する災害と、復旧・復興の現場

もう一つ見逃せないのが、災害からの復旧・復興です。
気象庁によると、1時間に50mm以上の激しい雨が降る回数は、統計を取り始めた1976〜1985年の平均と比べて、最近10年間では約1.5倍に増えています。
地震や豪雨、台風などの自然災害が激甚化・頻発化するなか、被害を受けたインフラを一日でも早く元に戻す工事は、社会にとって欠かせないものになっています。

災害は、決して遠い場所の話ではありません。2026年8月の千葉豪雨では、千葉県内の21市4町に災害救助法が適用されました。
さらに9月の台風25号では、成田市の北印旛沼などで堤防が決壊し、周辺で大規模な浸水被害が発生しています。国土交通省からは緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)も派遣され、堤防の緊急復旧が進められています。

災害が起きたとき、被災した現場で復旧の段取りを組み、限られた時間の中で安全に工事を進めるのも施工管理の役割です。
白岩工業でも、千葉県内の災害復旧の現場に若手社員が携わり、昼夜交代で復旧作業にあたっています。

国も、災害への備えを強化しています。2025年6月には「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定され、2026年度からの5年間で、おおむね20兆円強の事業規模で防災・減災やインフラの老朽化対策を進めることが定められました。
2025年1月に埼玉県八潮市で起きた、下水道管の破損による道路陥没事故も踏まえ、老朽化したインフラを計画的に守っていく取り組みが全国で進められています。

さらに、地震や豪雨などの自然災害が激甚化・頻発化するなか、防災・減災や災害からの復旧・復興の工事も欠かせません。
インフラの老朽化や復旧・復興と建設業の関係については、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

建設業と地方創生の関係とは?

高まる施工管理の需要

こうした需要の高まりを受けて、施工管理の求人倍率も高い水準が続いています。
厚生労働省の統計では、施工管理を含む「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は2025年平均で5.64倍。全職業平均の1.22倍と比べて、4倍以上の高さです。

ここまでの数字を整理すると、次のようになります。

  • 建設業就業者:685万人(1997年)→ 478万人(2025年)
  • うち技能者:464万人(1997年)→ 296万人(2025年)
  • うち技能者(将来推計):約245万人(2020年)→ 約166万〜193万人(2035年)
  • うち技術職:2013年を底に増加し、41万人(2025年・過去20年で最多)
  • 建設投資額:約42兆円(2010年度)→ 約75.6兆円(2025年度見通し)

現場で手を動かす人は減っているのに、仕事の量は増えている。そして、現場を管理する技術者は増えている。
この一見ちぐはぐな状況にこそ、施工管理で働く人が増えている理由が隠れています。

施工管理で働く人が増えている5つの理由

では、なぜ施工管理で働く人は増えているのでしょうか。ここでは、5つの理由から詳しく見ていきます。

01. 工事が増え、施工管理の需要が高まった

一つ目の理由は、シンプルに施工管理を必要とする工事そのものが増えていることです。

建設業法では、工事現場ごとに技術者を配置することが定められています。つまり、工事の数が増えれば、それを管理する施工管理も必ず必要になるのです。
職人さんの仕事の一部は機械化や省力化で補うことができても、現場全体に責任を持つ技術者の配置は欠かせません。

2010年代以降、震災からの復興や国土強靱化、都市の再開発などで建設投資が回復したことで、施工管理を求める声は一気に高まりました。
技術職が2013年を底に増加に転じたのは、この流れと重なっています。

インフラの再整備や都市開発は今後も続くと見込まれており、施工管理の需要は一時的なものではありません。施工管理の将来性については、こちらも合わせてご覧ください。

施工管理の将来性が高いといわれる理由とは?

02. 資格の入り口が大きく広がった

二つ目の理由は、施工管理技士の資格制度が見直され、若いうちから、そして未経験からでも挑戦しやすくなったことです。
施工管理技士は、施工管理として働くうえで重要な国家資格です。これまでは、受検するために学歴に応じた実務経験が必要で、高卒の場合、1級の第一次検定を受けられるのは最短でも28歳以上でした。

しかし2024年度からは制度が改正され、1級の第一次検定は、19歳以上であれば学歴や実務経験に関係なく受検できるようになりました。
2級の第二次検定についても、必要な実務経験が学歴に関係なく、第一次検定合格後3年に統一されています。

この改正の効果は数字にも表れています。2024年度の1級土木施工管理技術検定の第一次検定では、受検者数が前年度の約1.6倍となる5万1193人に増加し、新たに受検できるようになった19歳からも75人の合格者が生まれました。

「資格は現場経験を積んでから」という時代から、「入社前後から資格取得に挑戦できる」時代へ。
白岩工業でも、内定者の段階から2級土木施工管理技士の第一次検定(学科)に挑戦し、入社前に資格取得の一歩を踏み出しています。

施工管理技士の学科を取得する理由

施工管理として取得しておきたい資格の種類や取得のタイミングについては、こちらの記事で紹介しています。

施工管理が取るべき資格とは?

03. 待遇の改善が進んでいる

三つ目の理由は、建設業の賃金が上がり続けていることです。

建設業の年間賃金は、建設投資の増加を背景に2013年以降上昇傾向にあります。
また、国が公共工事の費用を算出する際に用いる「公共工事設計労務単価」は、2026年度まで14年連続で引き上げられ、全職種平均で初めて25,000円を超えました。

人材の需要が高い施工管理は、経験や資格に応じて評価されやすい仕事です。現場経験を積み、資格を取得し、より大きな現場や役職を任されるほど、待遇にも反映されやすいのが特徴。
キャリアの積み上げ方がはっきりしていることも、施工管理が選ばれる理由の一つでしょう。

施工管理のキャリアアップの考え方や将来像については、こちらも合わせてご覧ください。

施工管理のキャリアアップとは?

04. 働き方が変わり始めている

四つ目の理由は、長時間労働が当たり前とされてきた建設業の働き方が、少しずつ変わり始めていることです。

2024年4月からは、建設業にも時間外労働の上限規制が適用されました。
これを機に、週休二日制の導入や、施工管理の負担を減らすための業務分担の見直しなど、働き方改革に取り組む企業が増えています。

ただし、課題がなくなったわけではありません。建設業の年間労働時間は減少傾向にあるものの、2025年時点でも全産業の平均と比べて年間約237時間長く、年間出勤日数も26日多い状況です。

それでも、業界全体が「変わらなければ人が集まらない」という危機感を持ち、改善に向けて動き出していることは確かです。

05. DX化で、施工管理の仕事そのものが変わっている

五つ目の理由は、デジタル技術やAIの活用によって、施工管理の仕事のあり方そのものが変わってきていることです。

国土交通省は2024年に「i-Construction 2.0」を策定し、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、つまり生産性を1.5倍に高めることを目標に掲げました。
その柱の一つが「施工管理のオートメーション化」です。

すでに多くの現場で、ドローンによる測量やICT建機、クラウドを使った写真・図面の管理、施工管理アプリなどが活用されています。

今後はAIの活用も進み、カメラ映像から危険箇所を判断する安全管理や、図面の3D化、施工手順の最適化といった分野での活用が期待されています。

書類作成や情報整理にかかっていた時間が減ることで、施工管理は「体力勝負の仕事」から「知識と判断力、マネジメント力を活かす仕事」へと変わりつつあります。
こうした変化によって、文系出身者や女性など、これまで建設業を選択肢に入れていなかった人にとっても、施工管理は目指しやすい仕事になりました。

施工管理は「これから」の仕事

ここまで見てきたように、建設業界では今後も技能者の減少が続くと考えられます。だからこそ国は、少ない人数で現場を動かす「省人化」を進めています。

人が減るほど、限られた人材や機械、予算をどう組み合わせ、どう段取りするかが工事の成否を左右します。つまり、省人化が進むほど、現場全体を計画し、管理する施工管理の重要性は高まっていくのです。

AIが進化しても、最後に判断するのは人

では、AIが進化すれば施工管理の仕事はなくなってしまうのでしょうか。

白岩工業の社長と取締役が「AIが発達するこれからの建設業界のあり方」をテーマに語り合った対談では、AIが判断の材料をそろえ、判断と実行は人間が担うという役割分担が語られています。
AIによって書類処理などの時間が減れば、人を束ねる、判断する、コミュニケーションをとるといった、人間にしかできない仕事に集中できるようになる、という考え方です。

対談の中で社長は、現場は職長と職人の信頼関係があってはじめて動くものであり、特に公共工事では最後に人がきちんと判断したという事実が求められる、とも語っています。
AIが当たり前になる時代だからこそ、人柄や実行力といった「人間力」が、施工管理の価値としてより大きな意味を持つようになるでしょう。

社長・取締役対談

施工管理と職人さんの信頼関係の築き方については、こちらの記事も合わせてご覧ください。

施工管理と職人の信頼の築き方

インフラを未来へつなぐ担い手として

道路や鉄道、ダム、上下水道といったインフラは、仮想空間ではつくれません。人々の暮らしや地域の経済、観光も、すべてインフラという土台の上に成り立っています。

老朽化したインフラの更新、災害からの復旧・復興、都市の再開発。
これからの日本では、インフラを「つくる」だけでなく、「守り、つくり変えていく」仕事がますます重要になります。その現場の中心に立つのが施工管理です。

特に災害が起きたときには、真っ先に現場に入り、暮らしを取り戻すための工事を担うのが建設業です。
災害が激甚化・頻発化するこれからの時代、復旧・復興の現場を動かす施工管理の存在は、ますます欠かせないものになるでしょう。

施工管理で働く人が増えているのは、「人手が足りないから」だけではありません。これからの社会を支える仕事として、施工管理の価値そのものが高まっているからだといえるでしょう。

白岩工業の施工管理


最後に、白岩工業の施工管理について簡単にご紹介します。
白岩工業は1953年の創業以来、スーパーゼネコンの施工パートナー(サブコン)として、首都圏を中心に鉄道・道路・トンネル・ダムなどの大型インフラ工事を手掛けてきました。
構造物の骨格をつくる躯体工事など、インフラの根幹に関わる工事で、現場のヒト・モノ・カネを管理しています。

また、「採用と教育で日本一のサブコン」を目指し、未経験から施工管理として成長できる教育に力を入れています。新入社員の約半数は文系出身で、取得すべき資格の取得率は95%に達しています。

採用・人事担当が現場を訪れる理由とは?

まとめ

今回は、データをもとに建設業界の「いま」を整理し、施工管理で働く人が増えている理由をご紹介しました。

建設業界では就業者全体が減り、高齢化も進んでいます。その一方で、インフラの老朽化や再開発、激甚化する災害からの復旧・復興などで工事の量は増え続け、施工管理をはじめとする技術職は2013年を底に増加し、過去20年で最多となりました。

その背景には、工事の増加による需要の高まり、資格制度の改正、待遇や働き方の改善、そしてデジタル化による仕事の変化があります。
人が減り、AIが進化する時代だからこそ、現場を計画し、人を動かす施工管理の価値は、これからさらに高まっていくでしょう。

施工管理という仕事の「いま」と「これから」が伝わりましたでしょうか。
自分が施工管理に向いているか気になる方は、こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

施工管理に向いているのはどんな人?

何を誇れる人生にしたいか、
一緒に考えませんか?

将来のこと、仕事のこと、人生のこと。不安や期待も含めて、一緒に考え、設計してみませんか?あなたの想いを受けとめたうえで、後悔のない選択となるよう約束し、真剣に向き合います。