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2026. 08. 28

「地方創生」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのは、観光で人を呼び込んだり、移住を促したりして、その地域を“盛り上げる”取り組みではないでしょうか。
もちろん、それも地方創生の大切な一面です。けれど、その前提には、いつも「インフラ」があります。
そして、災害からの復旧・復興もまた、地方創生の一部だと私たちは考えています。
今回は、建設業と地方創生のつながりについて、白岩工業の白岩 大地 取締役(経営企画部長兼人事・総務部長)に話を聞きました。

地方創生とは、2014年に制定された「まち・ひと・しごと創生法」に基づく国の政策です。
東京一極集中を是正し、地方の人口減少に歯止めをかけ、それぞれの地域で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本を維持することを目的としています。
2024年からは「地方創生2.0」として、取り組みがさらに進められています。
「まち・ひと・しごと」とは、住みよいまちの環境づくり、地域を担う人材の確保、魅力ある雇用の創出という3つを、一体で進める考え方です。
具体的な施策としては、観光振興や移住・定住の促進、地域産業の活性化、企業誘致、そして地域と継続的に関わる「関係人口」の拡大などがよく知られています。
もっとも、東京圏への人口集中はいまも続いており、地方創生は一朝一夕には進まない、長期的な取り組みです。
一般には「地域を盛り上げる施策」としてイメージされがちですが、白岩大地取締役は、その手前にある“土台”にこそ目を向けるべきだと語ります。
考えてみれば、観光客を呼び込むにも、道路や鉄道、空港、港湾がなければ人は移動できません。移住して暮らすにも、上下水道や電力といったライフラインが欠かせません。
実際、地方が栄えるきっかけのひとつは、高度経済成長期などに整えられた道路や鉄道といったインフラでした。人と物が行き交う土台があってはじめて、地域の経済も観光も動き出します。
そして日本では今、その土台そのものが転換期を迎えています。
高度経済成長期に一斉に整備された多くのインフラが、建設から50年以上を経て老朽化し、更新や修繕が全国的な課題になっているのです。
都市部の再開発も、便利になるという側面だけでなく、老朽化した構造物を安全につくり変えるという意味を持っています。
古いものをただ残すのではなく、必要のないものを省き、新しくつくり変えていく。それもまた、暮らしと地域を支える営みです。
国も、社会資本の整備を通じた地域の活性化を後押ししています。インフラは、地方創生の結果ではなく、出発点にあるものだといえるでしょう。
白岩がもうひとつ、強い言葉で語ったのが「復旧・復興」の重要性です。近年、地震や豪雨といった自然災害は激甚化・頻発化しており、復興を必要とする地域は年々増えています。国も「国土強靱化」を掲げ、防災・減災とあわせて復旧・復興に力を入れています。
壊れた道路やライフラインをいち早く直し、人々の暮らしを取り戻す。それは、地域の存続そのものに関わる仕事です。しかも、復興は「元どおりに戻す」だけではありません。
日本には古くから「創造的復興」という考え方があります。これは、災害前の状態にただ戻すのではなく、より良い状態にして地域を立て直すという理念で、古くは関東大震災からの帝都復興でも掲げられました。
近年では国連の防災枠組が示す「より良い復興(Build Back Better)」として、世界共通の価値観にもなっています。
実際、行政による復旧・復興の取り組みも、道路や鉄道といった基幹インフラの復旧にとどまらず、安全で暮らしやすい街をつくり直す「復興まちづくり」や、地域の観光の立て直しまでを含んでいます。
壊れたものを、以前より安全で暮らしやすい形へとつくり変えることは、まさに、地域の未来をつくること、つまり地方創生そのものではないでしょうか。

白岩工業が携わってきた現場を見ると、その仕事が地域や社会と、どれほど深く結びついているかがわかります。
今回は代表的な3つの分野からご紹介します。
道路や鉄道、トンネルは、人と物の流れを支え、都市と地方の距離を縮める「大動脈」です。白岩工業が携わる横浜湘南道路トンネル工事は、国道1号線の直下に約5.4kmの高速道路トンネルをつくる工事で、外径13.2mという日本最大級の規模。2本のトンネルを地中で1本に接合する世界初の工法も用いられた、高度な技術が求められる現場です。ほかにも、リニア中央新幹線の開業を見据えた品川駅の再開発や、東京湾アクアラインなど、地域をつなぐ基盤づくりに関わってきました。
洪水から地域を守り、水資源を確保するダムは、暮らしの安全を足元から支えるインフラです。白岩工業は、群馬県の八ッ場ダム本体建設工事に携わりました。
八ッ場ダムは、洪水を調節する役割に加えて、水道用水の供給や発電にも使われる多目的ダムです。
近年では、秋田県の成瀬ダムのような地方の大規模ダムでも、こうした治水インフラづくりが進められています。ダムのような巨大構造物は、地域の安全を守るだけでなく、その土地の新たなシンボルとなり、観光地化を経て地域活性につながるケースもあります。
人が集まる都市もまた、絶えず更新を必要としています。白岩工業は、「100年に一度」と言われる渋谷駅周辺の再開発に、10年以上・約20の現場で携わってきました。
JR渋谷駅の改良工事では、高架橋の躯体構築やホームの新設、列車を止めずに行う線路の切換といった、難度の高い工事を積み重ねています。
老朽化した都市機能を、動かしながら安全につくり変えていく。暮らしを守る大切な仕事です。
白岩工業の現場は首都圏が中心ですが、そこで整えられるインフラは、日本全体の経済や物流、そして各地域の暮らしへとつながっています。
首都圏の玄関口や大動脈を支えることは、地方も含めた日本全体を支えることでもあるのです。
地域を支えるものづくりには、自然への配慮が欠かせません。
大規模な土木工事では、事前に環境への影響を調べる環境影響評価(環境アセスメント)が行われ、工事中も水質や土壌、騒音などに細やかな管理が求められます。
近年は、自然の力を活かして防災や環境保全につなげる「グリーンインフラ」という考え方も広がっています。
地域の暮らしを守るために自然へ手を入れながら、その自然そのものも守る。相反するようにも見えるこのバランスの上に、土木の仕事は成り立っています。

地域のインフラを未来にわたって支え続けるには、それを担う人が欠かせません。しかし建設業界は、深刻な担い手不足に直面しています。
国土交通省によれば、建設業の就業者数は1997年のピーク時の約685万人から、2022年には約479万人へと、およそ3割減少しました。
年齢構成も偏っており、55歳以上が約4割を占める一方、29歳以下は約1割にとどまっています。ベテランが引退を迎えるなかで、技術をどう受け継ぐかが大きな課題です。
その一方で、老朽化対策や国土強靱化、災害復興など、建設への需要はむしろ高まっています。だからこそ白岩工業は、人材育成に力を注いでいます。
「設備投資の第一は人」という考えのもと、「採用と教育で日本一のサブコンを目指す」というビジョンを掲げ、未経験や文系出身の若手も含め、一人ひとりを社会インフラの担い手へと育てています。
それは、日本のインフラと地域の未来を支える人を、社会に送り出していくことでもあります。
「地方創生」は、観光や移住で地域を盛り上げることだけを指すのではありません。
その土台となるインフラを整え、災害から暮らしを取り戻し、より良い地域へとつくり変えていく。それら一つひとつが、地域の未来をかたちづくっています。
白岩工業が大切にする「100年後まで使えるものづくり」は、まさに未来への約束です。自分たちがこれからの日本を支えていく。
目まぐるしく変化していく時代の中で、建設業は、今以上に誇りを持って歩んでいける仕事になるはずです。
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