PROJECT
2026. 08. 21

(提供:東京湾横断道路株式会社)
東京湾アクアラインは、神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ全⾧約15kmの自動車専用道路で、川崎側約10kmが海底トンネル、木更津側約5kmが橋梁です。
白岩工業は、海底トンネルの中間地点にあり、現在はトンネルの換気塔として利用されている川崎人工島の構築と川崎人工島から川崎側に向かうトンネルのうち約1.8kmを掘削しトンネル内部に自動車が走行する道路や道路下の管理用通路・避難通路の構築まで携わりました。
川崎人工島「風の塔」は、工事中は川崎人工島から発進する4台のシールドマシンの発進基地として、巨大シールドマシンの組立、掘削土砂の搬出、トンネル構築の拠点となった、巨大な海洋土木構造物です。
施工場所は川崎港の沖合約5km、水深約28m、海底下に厚い軟弱地盤が広がる極めて厳しい条件の海域でした。軟弱地盤対策としてサンドコンパクションパイル工法、深層混合処理工法による地盤改良を行い、その上にジャケットと呼ぶ鋼製のやぐらを二重円状に据え付け、ジャケットの間に内径98m、長さ119mの地中連続壁を円形に築き、海底地盤を土留めして止水し、海面下約70mまで掘削し、人工島内部に鉄筋コンクリート構造物を構築しました。
施工にあたっては海水汚濁の防止や船舶航行の安全確保、周辺景観への配慮にも取り組みました。
完成後、川崎人工島は海底トンネルの換気施設として重要な役割を担っています。
(提供:東京湾横断道路株式会社)
川崎市浮島と川崎人工島の間の川崎トンネルのうち、白岩工業は川崎人工島から川崎に向けて掘進した2本トンネルのうち北側のシールドトンネル工事を担当しました。当時世界最大級の外径14.14mの泥水加圧式シールドマシンにより海底地盤を掘削、最大6気圧程度の高水圧の中を約1,800m掘進しました。
当時、前例のほとんどない、高水圧、超大断面、⾧距離の海底シールド工事でした。泥水加圧式シールド工法は、高水圧下でも切羽を安定させ、海水、土砂の流入を防ぐ、安全性と施工精度の高い工法です。
また、セグメントの自動組立や泥水処理設備管理の自動化などの先進的な取り組みも行いました。
海底トンネル工事の最大の技術的特徴のひとつは、両方向から掘進してきたシールドマシンを海面から約70m下の海底地盤内で地中接合して1本のトンネルとしたことで、極めて高い測量精度と2台のシールドマシンを高精度に掘進させほぼ誤差なく接合する施工が求められました。
地中接合後には2台のシールドマシン接合部周囲の土を凍結させて完全に止水し、シールドマシンの内部を解体、トンネルを貫通・構築しました。
ここで培われた超大断面・高水圧下の施工技術は、その後の都市部の大深度、⾧距離シールド工事、地中接合工事へと活かされています。
(提供:東京湾横断道路株式会社)
川崎人工島の構築から、海底トンネルの掘削、トンネル内部の構築まで、トンネル工事全般に携わりました。
当時は白岩工業だけでも、昼間は職員・作業員合わせて約100名、夜間でも約50名が従事し、川崎人工島全体では4つのシールド工事に昼夜500~600名ほどが働いていました。
トンネルが貫通するまで、現場への移動手段は川崎市東扇島から川崎人工島へ向かう船だけでした。朝6時に朝礼を行い6時30分発の船で川崎人工島へ渡り、定時なら18時頃に扇島へ戻る毎日。残業で21時頃になることもあり、事務所に戻ってからも深夜まで内業が続く日が多く、今では考えられないほど厳しい毎日でした。若かったからこそ乗り越えられたのだと思います。
船の運航時間は厳格で、乗り遅れると大変でした。最終便を逃して人工島の事務所に泊まり、そのまま翌日の業務に入ったこともあります。海が荒れて欠航することもあり、退勤時に欠航となれば船の再開まで人工島で待機するしかありません。
特に台風時は過酷で、暴風雨のなか建物の中にいても波しぶきの音や、強風で揺れる詰所に恐怖を感じたことを今でも覚えています。人工島でしか見られない光景にも数多く出会いました。海上に次々と落ちる雷や、現場のクレーンへ落雷する瞬間を目の当たりにしたときは、恐怖と同時に自然の迫力に圧倒されました。
人工島に常駐していた超大型の450t級のクローラークレーン、日本最大の4100t級のフローティングクレーンを間近で見たときには、「自分は国家的なプロジェクトに携わっているのだ」と強く実感したものです。
トンネルが貫通すると現場へのアクセスは船から車へ変わり、一般開通前の海底トンネル内を工事車両で走って人工島へ通うようになりました。開通前のトンネルを通れたのは、工事に携わった者だけの特別な経験です。
今でもアクアラインを通るたび、「ここを施工した」「ここではこんな出来事があった」と当時を思い出します。
当時の仕事は非常に厳しいものでしたが、普通では経験できない大規模海洋土木工事に携わり、地図に残り、今も多くの人々の暮らしを支える構造物の建設に関われたことは大きな誇りです。
「東京湾アクアラインの工事に携わった」という経験は、現場担当者にとって一生の財産になっています。
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