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2024. 12. 17

建設の世界では、「玉掛け」「クリアランス」といった業界に携わる人にしかわからない専門用語がいくつもあります。
普段はあまり聞くことがないため難しいと感じることも多々ありますが、意味を知らないと話の内容がわからなくなってしまったり、指示を聞き間違えてしまうことも・・・
そこで今回の記事では、建設業界で頻繫に使用される用語や知っておいて損はない用語をまとめて紹介していきます。
建設業界に携わりたい、活躍したいと考えている人は、事前に知っておくといずれ役に立つものばかりですので、用語を知ってより建設業界に詳しくなりましょう。
建設業界では、知っておくべき専門用語が多数ありますが、主な理由は以下の通りです。
ただし、建設業界で使用される専門用語は数が多いため、一気に覚えるのは非常に大変ですよね。
さまざまな情報を活用して事前に予習することや、現場を経験しながら少しずつ覚えていくとよいでしょう。

ここからは、建設に関わる用語をひとつずつ解説していきます。
「仮組み」とは、建築や構造物を接着剤などを使用して組み立てる前に、部品のサイズが間違ってないか、ほぞ穴は正確かなどの点検を行う確認作業のこと。
失敗が許されない精密で正確な組み立てが求められる建設現場では、必要不可欠ステップで、特に複雑な形状や橋梁のような規模が大きい構造物では、事前の点検で問題を特定することで、その後の作業もスムーズに進めることができます。
「仮囲い」とは工事期間中、工事現場と外部を隔離するために現場の周辺に設置する塀のこと。
工事騒音の軽減や関係者以外の立ち入りを禁止、資材のはみだし設置・落下物・盗難防止、現場周辺の景観保持などが主な目的です。
主に鋼板柵があり、強風などを受けても転倒や倒壊しない、高さ2メートル以上の防護板を設けるのが一般的で、これは建築基準法でも、工事期間中は1.8メートル以上の仮囲いを設置しなければならないと定められています。
基礎というワードはさまざまなシーンで使用されますが、建設現場でいう「基礎」とは、建築物の力を地盤に伝えるために設けられるコンクリート部分の下部構造のことで、種類は大きく「直接基礎」と「杭基礎」の2種類があります。
「直接基礎」は、文字通り直接地盤に力を伝えて建物を支持する形式で、主に硬い地盤がある場合や比較的軽い建物で採用される基礎のこと。
直接基礎の中にも形式によって違いがあり、床一面が鉄筋コンクリートになっている「ベタ基礎」、逆T字形状の鉄筋コンクリートを打ち込んで土台にする「布基礎」、1本の柱の下にだけ基礎をつくり建物全体を支える「独立基礎(独立フーチング基礎)」などがあります。
一方、「杭基礎」は地面に杭を打つことで地盤を安定させる基礎のこと。
地下深くにある硬い地盤まで杭を打ち込むことで、土地が柔らかくて軟弱な地盤の土地でも、建物をしっかりと支え、安定させることができます。
「基礎工事」とは、前途で解説した建物の土台となる基礎部分を作る工事のこと。
まずは、基礎の外周に印をつける「地縄張り・遣り方工事」に始まり、パワーショベルなどの重機を用いて、設定された深さまで土を掘り下げる「掘削工事」、小さな石を敷き詰めて地盤を強固にする「砕石敷き」、コンクリートの引張強度を担うための「配筋」など、さまざまな工程を踏んで完成させていきます。
「切り回し」とは、工事施工時に支障となるような下水管や道路などを一時的に迂回させること。
水道管を破損させないよう移設工事を行ったり、交通の妨げにならないよう仮設道路を設置したりします。
物質の中に存在する空いた空間やすきまのことを「空隙(くうげき)」といい、物体に対して空隙の占める割合を「空隙率」といいます。
建物のような大きな建造物では、すべてを1mmの誤差もなく組み立てるのは不可能です。
そのため、設計上ある程度誤差が認められていて、この誤差を吸収できる施工上必要なすき間のことを「クリアランス」といいます。
「構造物」の定義は、“複数の材料や部材などから構成され、基礎などにより重量を支えられた構造で造作されたもの”。
構造物にも大きく「土木構造物」「建築構造物」の2種類があり、具体的には以下のようなものがあります。
土木構造物:道路、ビル、鉄道施設、エネルギー施設(ガス、電力等)、ダム、堤防、橋梁、高架橋、上下水道施設、港湾施設、空港施設、治山施設など。
建築構造物:一戸建て、小型店舗、工場、ビル、商業施設、タワーマンション、高層オフィスビル、複合商業施設など。
建設業界でいう「工程」とは、工事の過程を略したもので、建設プロジェクトや工事全体の流れを指します。
建物の着工から竣工まで、工事の過程をひとつにまとめた日程表のことを、「工程表」といい、現場の規模や目的によって「総合(全体)工程表」「細部工程表」「月間工程表」「週間工程表」を使い分けます。
スケジュールや進捗を見える化することで、納期までに確実に工事を終わらせるだけでなく、工期の短縮やコスト削減にもつながります。
工事完成まで数年かかることも少なくない建設業界では、自然災害や予期せぬトラブルなど、予定通りにいかないことが多々あるため、期間にはある程度余裕を持たせて作成する必要があります。
クレーンは、到底人の手では重くて運ぶことの出来ないような荷物を吊り上げて、運んでくれる頼もしい建設機械ですが、その最大の特徴ともいえる本体から伸びる長いアームのことを「ジブ」といいます。
現場やメーカーによっては「ブーム」と呼ぶこともありますが、この2つは呼び方が違うだけで基本的に同じものと考えて問題ありません。
建築の施工を依頼する人や法人・地方自治体などの組織のことを「施主(せしゅ)」といい、「建築主」「発注者」などとも呼ばれます。
建築主に関しては、建築基準法で明確に定義されていて、“建築物に関する工事の請負契約の注文者、または請負契約によらず自らその工事を行う者”とされています。
施主の役割は大きく、建築を行う前の建築確認申請や予算の確保、設計者・施工者の選定などが挙げられます。
「ゼネコン」とは、ゼネラルコントラクター(General Contractor)の略称で、ビルやマンション、テーマパークや商業施設といった大規模な工事を請け負う「総合建設業者」のことを指します。
明確な定義があるわけではなく、「設計」「施工管理」「研究開発」の3つの業務を自社で行っていること、会社の規模や資金力などを総合的にみて判断されます。
ゼネコンも売上高によって「スーパーゼネコン」「準大手ゼネコン」「中堅ゼネコン」の3段階に分かれていて、特に売上高1兆円を超えるスーパーゼネコンは、現在日本には5社しかありません。
一人の従業員が複数業務を行うことを「多能工(たのうこう)」といい、「マルチスキル」や「マルチクラフター」とも呼ばれます。
労働者不足で問題になって久しい建設業界では、複数の資格を取得した多能工が重宝されており、企業側にとってもマルチに活躍できる人材の育成が注目されています。
「玉掛け(たまかけ)」とは、クレーンのフックに荷を掛けたり、外したりする作業のこと。
吊り上げた荷物は常に危険と隣り合わせにあり、正しい方法で作業を行わないと大事故につながる可能性もあるため、玉掛け技能講習の資格保有者でないと作業することができません。※1トン以上の作業は特別教育が必要となります。
「断面図」とは、文字通り建物を垂直に切断した断面を表す図面のこと。
断面図があることで、天井高や軒の高さ、柱や梁のサイズや配置など、建物の内部構造を図面で理解できるだけでなく、建築確認申請時にも必要となる重要なものです。
建設業界における「出来高」とは、出来形(工事のできあがった部分)に相応する請負代金のこと。
建設業では、工場の着手から完成まで数年かかることも珍しくなく、当然その間の資材や人員の確保も必要ですし、場合によっては工場が中止になったりすることもあります。
そこで建設工事では出来高払いにすることで、工事の目的物が完成していなくても請求・支払いが行われる場合があり、リスク、コストの両面でバランスのとれた仕組みとなっています。
「出面」とは、建設現場に出た作業員一日当たりの人数のことで、いつ・誰が・どこで・何時間働いていたかを示す表のことを「出面表」といいます。
建設の世界でいう「手元」とは、作業の中心にいる職人の補助・サポートをする役割の人のこと。
以前は手元専門の職人も存在していましたが、人件費の削減、見習いの職人が手元の役割を担うことが増加したなどの理由から、現在は消滅しています。
「土工」とは、建設現場で土の掘削や埋め戻し、盛り土、土砂の運搬、コンクリート打設、現場資材の運搬などの作業を担当する技能者のこと。
土木と混同されがちですが、土木工事は現場で行われる工事全体のこといい、土工はその中でも人力・機械で行われる作業のことを指す場合が多いです。
鳶職人とも呼ばれる「鳶(とび)」は、足場の組立て、杭打ち、矢板打ち、重力物の据付、鉄骨の建方、送電線架線といった高所での作業を行う職人のこと。
作業内容によって呼び方が異なり、足場の組み立てや解体を行う「足場鳶」、大型の設備の搬入や据付を行う「重量鳶」、鉄骨を組み上げて建物の骨組みを作る「鉄骨鳶」などに分類されます。
建設業界における「取り合い」とは、2つの構造部材の接合部分・境界のこと。
建築物の強度や美観に影響を与える部分であり、部材の特徴をしっかり把握しておく必要があるため、技術者の力量が求められる作業になります。
「荷締め」とは、荷物を固定して荷崩れや損傷などのトラブルを防ぐ作業のこと。
荷締めに使用される代表的な器具では、ラッシングベルト(ベルト荷締機)、ガッチャ(レバーブロック)、ターンバックルなどが挙げられます。
建設業界では、1人の従業員が1日仕事をしたときにかかる人件費のことを「人工(にんく)」といいます。
1人に対する1日あたりの人件費を「1人工」、1人が半日働いた場合は「半人工」と呼びます。
「貫板(ぬきいた)」とは、屋根の頂点にある棟板金を固定するために使われる部材のこと。
棟板金は、隙間を塞いで雨水の浸入を防ぐ重要な役割を持っているが、貫板はそれを固定するための土台であり、屋根全体の構造の安定する役割なども果たしている。
「床掘り」とは、構造物の築造、もしくは撤去を目的するために施工基面より下の土砂等を掘り下げる箇所であり、側溝や埋戻しをする作業までのこと。
「廃材」とは、住宅や建物を解体する際に出る不必要な材木・材料、コンクリート塊、レンガ片、金属の破片などの産業廃棄物のこと。
建設リサイクル法により、「特定建設資材」として再資源化の対象になっているコンクリート(プレキャスト板等を含む。)、アスファルト・コンクリート、木材の4品目は、産業廃棄物の再資源化が義務付けられています。
「プレキャスト」とは、正確にはプレキャストコンクリート(PCa)と呼び、あらかじめ工場で生産されたコンクリート部材のことを指します。
規格化された壁や柱などをPCパネルと呼び、マンホールやカルバートなどが、プレキャストコンクリート製品の代表例です。
事前に工場で量産して現地で組み立てることで、高品質部材の安定化や工期の短縮、生産性の向上といったさまざまなメリットがあります。
平方メートル(㎡)の総称。建設業界では、坪単価(1坪=約3.30578㎡)や床荷重(1㎡あたりの床が耐えられる重さ)など、さまざまなシーンで用いられます。
暗渠とも呼ばれる「ボックスカルバート」は、下水道や地下道、貯留槽などに使われる箱の形をした地下に埋設されるコンクリート構造物のこと。
水路だけでなく、電線や通信線の収容など、広範囲に渡ってインフラ事業を支えています。
立法メートル(㎥)の総称で、建設の世界では「りゅうべい」と呼ぶのが一般的です。
「アスベスト」とは、天然にできた鉱物繊維のことで「せきめん」「いしわた」とも呼ばれています。
かつては丈夫で扱いやすかったことから、多くの建物で利用されてきましたが、飛散するアスベストによる健康被害が続出したため、現在は製造・使用等が全面的に禁止されています。
しかし、未だにアスベスト法が施行される2006年以前に建てられたビルも多く、建設業者がリフォームや解体をする際は、現場のアスベスト対策が義務付けられています。
家の外側を構成する構造物のこと「外構」といい、具体的には塀や門、庭まわり、植栽、アプローチ、フェンス、カーポートなどが挙げられます。
エクステリアと混同されがちですが、構造物そのものを指す外構に対し、エクステリアは建物の外部空間全体を指す言葉として用いられます。

白岩工業では、新入社員研修の中でこれらの専門用語についても学んでいただきます。
新入社員研修では、座学を通しての用語への理解を深めるのはもちろんのこと、実際の現場見学にて先輩社員から伺う機会も多々設けております。そうすることで、用語への理解が深まり、かつ現場配属後の実際の業務においても役立つよう工夫をしております。また外部講習にて専門知識について深く学ぶ時間もございます。
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今回は建設現場で使用されている専門的な用語の中でも、よく使われる用語や知っておくべき用語を解説しました。
現場で当たり前のように使用されている用語だからこそ、早く覚えると指示や説明がわかるようになり、スムーズな作業につながります。
建設業界は専門的な用語も多く、さまざまな知識が必要になる業界ですので、ぜひ今回紹介した用語を覚えて、活用してみてはいかがでしょうか。
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